組み合わせ計算の広がりと新たなる発展
~根本の思考力と最新鋭の研究開発~

v-DESIGNの製品リリースに至るまでの話をお聞かせください。
私はアライドエンジニアリングの前身である㈱ソフトピアに1985年に入社し、当初は主に電機メーカー関連の開発・解析業務に携わっていました。
1991年に㈱アライドエンジニアリングへ社名変更され、その数年後にADVENTUREプロジェクトがスタート、それに次ぐプロジェクトとして始まったのが『製品設計のための部品仕様展開システム』の研究開発でした。それは大学と国内自動車メーカーとの共同開発で、私はプロジェクト始動後の4~5年目ぐらいから開発に関わっていました。
このシステムの研究開発が始動したきっかけは、自動車業界においてあらゆる業務が情報化されていく中、部品仕様に関わる組み合わせ問題への支援は難しい業務であり、そこに取り組むことこそが重要との結論に帰着したことからでした。
このシステムが元となり、「v-DESIGN」が誕生しました。
v-DESIGNの開発に掛かった期間、その後について教えてください。
v-DESIGNの元となった『製品設計のための部品仕様展開システム』の研究開発には約4年を要しました。その後、お客様の業務・利用環境に合わせた形でv-DESIGNを使用したシステム開発をしました。2002年に初のv-DESIGNユーザーが誕生しますが、その後もお客様のご要望にお応えし続けることで現在も長くご利用いただいています。
お客様の基幹システムの一部なので、リリース後は保守という形でメンテナンスしたり、さらなる高速処理が必要になった場合に改良を入れたりしています。
v-DESIGN市場について、どのように感じていらっしゃいますか。
v-DESIGNはお客様とぴったり寄り添って、ニーズにお応えできることがメリットです。しかし汎用的なものではないため、拡販がしづらい事がデメリットだと感じています。今の機能に組み合わせの最適化も加わってくると、市場が広がる可能性があると考えています。
『組み合わせの最適化』とは、与えられた条件を満たす組み合わせを選ぶとき、考えられる組み合わせの中から一番良いものをなるべく短時間で探し出すための機能の事です。
v-DESIGN開発の中で苦労したことや心がけている事について教えてください。
開発の中で最も苦労する点は、組み合わせ計算の高速化です。組み合わせ計算は効率的なロジックがないことが証明されている世界であり、時間がかかるものです。その中でスピードを上げる事は常に大きな課題であり、早く答えを出すようにすることの実現は最も苦心する部分です。
しかしながら、v-DESIGNを導入いただいているお客様の中には、他システムの組み合わせ計算にv-DESIGNを採用してくださっている方もいます。今後も唯一無二のアプリケーションソフトウエアとして、機能のさらなる強化の実現に向かって工夫を続けて行きたいと考えています。
開発を進めて行く上で心がけていることは、チームメンバーやお客様との交流の機会を積極的に作っていくことです。そうすることで様々な課題や展望について話し合える上に、更に親睦を深めることもできるのでとても大切な事だと考えています。
v-DESIGNに関するお客様の声やニーズについて教えてください。
v-DESIGNは製品の特性上、我々開発者が接するお客様と、実際に現場でご利用いただいているエンドユーザー様との間にいくつかの部門が介入しています。そのため現場の声が開発側に聞こえづらい状況ではあります。しかしながら、基幹システムの中で保守契約を継続いただいており、ユーザー数も増加しています。また間接的ではありますが、たまにお聞きするエンドユーザー様の声から、ご評価をいただけていると感じています。
その他、イベントの時などにお客様にお会いする機会があり、そこで現場で実際に役立っているという声や、有難いお言葉をいただけたりすると開発者としてとても嬉しいですし、さらなるやりがいを感じます。
v-DESIGNの今後の展開について教えてください。
自動車業界の発展により組み合わせが無限に広がる中で、v-DESIGNに求められている事は「今までよりさらに高速に結果を出せるようにする事」だと考え、そこに注力しています。
利用者の拡大という点では新たな可能性に何度も挑戦し、v-DESIGNを知ってもらうための新たなアプローチの方法を常にアンテナを張りながら模索しています。
今現在、まだ少数ではありますが海外のお客様のご利用も始まっており、今後は全世界への展開についても期待しているところです。
v-DESIGNの開発に関わる中で、昔と変わった事や進化した点などで感じる事について教えてください。
私が仕事を始めた1985年頃はIntel386プロセッサがリリースされた時代です。32bitプロテクト・モードの新設など、当時としては画期的なものでしたが、今のパソコンの機能と比べるとずいぶんと時代が進化したものだなと改めて感じますし、デバックなど開発は年々しやすくなってきていると感じます。
原点に戻りますが、組み合わせ計算の根本はどういう形で、どうやって早く解けるかを考える力が必要です。私の今後の課題は後世にその力を伸ばすための道筋を残していく事だと考えています。 人が育てばそれに伴って新たなる発展につながっていくはずですので、次世代の若いメンバーや研究開発の力に期待しています。組み合わせ計算の発展のために、頑張っていきましょう。