降伏. 一般に金属材料では,弾性域を超える荷重を負荷すると,材料は降伏し,塑性域に入ります。
降伏関数と降伏曲面.
塑性域を表現するのが降伏関数 (yield function) です。ここには非常に多くの議論があり,降伏関数にも多くの種類があります。ADVENTURE では,標準的な降伏関数であるMises の降伏関数を用いています。ADVENTURECluster ではMises,Tresca,Drucker Prager,Mohr-Coulomb の降伏条件が用意されています。
降伏関数は一般に応力 (テンソル) の関数です。降伏関数を F とするとき,F=0 を満たす曲面を降伏曲面 (yield surface) と呼び,降伏とはこの曲面上の応力状態を指します。降伏関数あるいは降伏曲面は降伏状態の進行に伴って膨張あるいは移動しますが,塑性変形の進行する限り,応力が降伏曲面上になければならないという条件を Prager の適合条件(Prager’s consistency condition),あるいは単に適合条件と呼びます。
除荷.
塑性状態にある材料が,応力を減少することで弾性状態に戻ることを除荷 (unloading) と呼びます。ある程度塑性変形が進行した状態から応力を減少させると,元の経路はたどらず,直ちに弾性時の傾きでひずみが減少します。これは,材料が弾性状態に戻ったことを意味します。
硬化.
塑性変形の進行とともに降伏曲面が膨張する (降伏応力は上昇) ことを加工硬化 (work hardening) と呼びます。
Bauschinger 効果.
一般に,引張り荷重で降伏した材料を,除荷した後に圧縮荷重で再降伏させると,引張り荷重時の降伏応力にくらべて,低い応力で降伏します。これを Bauschinger 効果と呼びます。
等方硬化則.
降伏曲面が原点を中心に等方的に膨張するものと考える硬化を等方硬化則 (isotropic hardening rule) と呼びます。これは塑性ひずみのする仕事が,降伏曲面の膨張に費やされていると解釈できます。等方硬化則は加工硬化は表現できますが,Bauschinger 効果を表現できません。
移動硬化則.
移動硬化則 (kinematic hardening rule) では,降伏曲面はその大きさを変えることなく,降伏曲面が移動することで初期降伏後の硬化を表現します。ミーゼスの条件の場合,降伏曲面の半径は変化せず,中心が移動することを示します。 移動硬化則では Bauschinger は効果表現できますが,加工硬化を表現できません。
複合硬化則.
複合硬化則 (combined hardening rule) は等方硬化と移動効果を組み合わせた硬化則です。 Bauschinger 効果と加工硬化をともに表現できます。
参考文献.
- 久田俊明,野口裕久,非線形有限要素法の基礎と応用,丸善,1995.
- 北川浩, 塑性力学の基礎, 日刊工業新聞社, 1979.
- 村田雅人,弾塑性材料の力学入門,日刊工業新聞社, 1993.
|