- Q1. ADVENTURECluster のソルバはどのようなものですか。
A1. ADVENTURECluster のソルバには,当社が独自に開発したCGCG法ソルバと並列 CG 法ソルバの2つが実装されています (ADVENTURE_Solidに実装されている標準的領域分割法は実装されていません)。両方とも,いわゆる反復法ソルバです。大規模解析では,メモリと計算時間の面で直接法は限界があります。
通常はCGCG法を用います(デフォルト)。非常に速いソルバです。並列 CG 法は標準的なソルバとして,ベンチマークなどで用いる以外には使う場面は少ないと思います。
- Q2. CGCG 法ソルバについて説明してください。
A2. 解説記事を準備中です。
- Q3. ADVENTURECluster の CGCG 法ソルバに関する公開された資料はありますか。
A3. 論文「鈴木正文,大山知信,秋葉博,野口裕久,吉村忍,大規模有限要素解析のための高速頑健な並列ソルバ CGCG 法の開発,日本機械学会論文集A編,653,2002.7, 1010-1017」などをご覧ください。CGCG 法アルゴリズムは国内特許取得済みです(特許第 3824582 号)。
- Q4. CGCG 法ソルバはどんな場合でも収束しますか。
A4. 直接法と違い,反復法なのでADVENTUREClusterのソルバには収束性の問題があります。しかし,これまでの非常に多くのベンチマークの結果,収束しなかった例はありません。収束しない,あるいは収束が非常に遅い場合は,まずメッシュが正しく作られているかどうかを調べてみる必要があります。
ADVENTURECluster以外の商用のメッシュジェネレータで切ったメッシュのコネクティビティが誤っている例はずいぶん見受けられます。この結果,要素の体積が負になったり,要素同士が重なりあったりするようなことがありますが,直接法の場合はこのような場合でも気にせず解いていることもあると思います。これでも不正な要素が少なければ,全体的には結果には影響を及ぼさないので,深刻な結果には至らないことが多いのだと想像します。しかし,応力変化が小さいところならば影響は無視できても,応力変化が激しいところに不正な要素があると,解析結果に影響します。
反復法ではこのような場合には収束性に直ちに影響しますので,一面では反復法の弱点ではありますが,もう一面では,直接法が不正な要素を無視して解析してしまう (または要素のチェックが十分に行なわれない) ことも問題があると思います。
また,必ずしも不正とは言えませんが,ADVENTURECluster以外の商用のメッシュジェネレータで切ったメッシュに,2重節点や向かい合う要素面が一致しなかったりすることもあります。ただし,この場合は反復法でもなんとか解けます。
ADVENTUREClusterのソルバでも収束しにくいことがあります。これはモデル全体または一部が非常に薄い部材や非常に長細い部材でできているようなものを,ソリッド要素(4面体,6面体)でメッシュ分割した場合です。厳しいモデルでは標準的なモデルの5倍以上もパフォーマンスが落ちることを経験しています。構造要素 (シェルや梁要素) の場合はまた違った振る舞いをいたします。
これまでの経験で,ADVENTUREClusterではない商用のメッシュジェネレータで切ったメッシュに,全体が複数の部分に分かれていて,1つの部分に境界条件がついていない例がありました。メッシュが複数の部分に分かれることはもちろんありうることですが,複数であることを見逃すほど小さなギャップがあって,境界条件を付けられなかったものです。拘束条件のないモデルは反復法 (特にCG法) では収束しないので,これは一見収束しないもののように見えました。しかし,これは直接法では解けてしまいますので,再び,一面で反復法の弱点,一面で直接法では不正なメッシュの見逃しの例になります。
- Q5. DDM,並列 CG 法,CGCG 法の違いは何ですか。
A5. メモの中のDDM/並列CG法/CGCG法の項をご覧ください。
- Q6. 特に1次要素を用いた計算結果で,節点相当応力と要素相当応力がかなり異なる場合があります。
A6. 要素相当応力は,積分点での相当応力の要素内の平均値です。4面体2次要素では,4つの積分点(-tet10-integ5を用いた場合では5つ) での応力の平均値を求め,その値を基に相当応力を求めます。ただし,4面体1次要素では積分点の数が1つしかないため,積分点相当応力と要素相当応力は等しくなります。
節点応力は,各要素ごとに積分点での応力値を節点に外装して求めています。1つの節点は複数の要素から外装が行われます。各要素からの外装値は算術平均を取り節点応力とし,その節点での相当応力を節点相当応力としています。
4面体1次要素には積分点が1つなので外装ではなく周囲の要素の積分点における応力の算術平均を節点応力とし,その相当応力を節点相当応力としています。
節点相当応力と要素相当応力が異なるのは,その付近での応力値の変化が大きいためではと考えられます。このような場合には,どのように近似しても精度の良い値を得ることは難しいので,より高い精度を求めるにはより細かくメッシュ分割を行う必要があります。
一般に積分点での応力から節点相当応力を求める方法はソルバにより異なるのですが,4面体2次要素における節点相当応力では ADVENTURECluster とI-DEAS がよく一致します。(2004年7月15日修正)
- Q7. 熱弾塑性解析はできますか。
A7. できます。解析事例をご覧ください。(2002年4月22日)
- Q8. 弾塑性解析で,弾完全塑性体 (2 直線近似で硬化係数が 0) は模擬できますか。
A8. できます。(2002年2月10日)
- Q9. 固有値解析における質量マトリクスの扱いを教えてください。
A9. CGCGPI 法 (CGCG 型前処理付き反復法),ランチョス法ともに集中質量です。ランチョス法では,一般固有値問題を標準固有値問題に直す際に集中マトリクスをコレスキ分解して用いる関係で,計算時間の問題も考えると,分散質量にすることは難しいと思います。CGCGPI 法では一般固有値問題をそのまま扱い,コレスキ分解などは行わないため,原理的には分散質量も可能ですが,現在は集中質量を用いています。
- Q10. ADVENTURECluster の接触解析はどのようなものですか。
A10. 準備中です。しばらくお待ちください。
- Q11. 熱伝導解析について教えてください。ある材料は温度依存性があり,他の材料は温度依存の無い場合でも解析できますか。
A11. できます。(2004年7月15日)
- Q12. 熱伝導解析についてもうひとつ教えてください。ある1つの材料で,質量密度は温度依存性がなく,比熱や熱伝導率には温度依存性があるのですが,このようなデータの混在は許されますか。
A12. できます。(2004年7月15日)
- Q13. ADVENTURECluster ソルバでは要素の品質チェックは行っていますか。アスペクト比やストレッチを使っていますか。また,不具合要素検出時のソルバの動作を教えてください。(2004/9/21)
A13. マトリックスを作成した段階で数値的にチェックします。ひっくり返った形状などはここではじかれます。アスペクト比やストレッチは用いていません。不具合要素が発見された場合には実行を中断します。
- Q14.【大ひずみ解析】大ひずみ解析が必要となるひずみの大きさの目安について教えてください。(2006年8月28日作成,2010年2月8日一部修正)
A14. K. J. Bathe "Finite Element Procesures", Prentice Hall, 1995 の 485 ページに始まる非線形解析のイントロダクションは参考になります。487 ページの図中には,大ひずみでない目安として,ひずみ 0.04 以下という数字が載っています。ただし,これは大ひずみとそうでない場合の裏づけを与えるわけではありません。一つの目安としお考えください。詳しくは本書をご参照ください。
幾何学線形解析の場合と,大ひずみ解析 (Updated Lagragian) の場合ではひずみの算出のしかたが異なります。初期形状と変形後の形状の長さの比であるストレッチ比をλとすると,各ひずみは次のようになります。
| ひずみの名称 | 定義 | 適用 |
| 公称ひずみ | λ-1 | 幾何学線形解析 |
| 対数ひずみ | lnλ | 大ひずみ解析 |
| Green-Lagrange ひずみ | 1/2(λ2-1) | Total Lagragian 解析 |
たとえば,λ を 1.1 とすると,公称ひずみ,対数ひずみ,Green-Lagrange ひずみはそれぞれ 0.1,0.095,0.105 となります。
また,断面積が変化するような場合には応力にも差が出ます。例えば,1 軸引張り試験で,初期の断面積をA,荷重F,変形後の断面積をA2とする時,応力は以下のようになります。
| 応力の名称 | 定義 | 適用 |
| 公称応力 | F/A | 幾何学線形解析 |
| 真応力 | F/A2 | 大ひずみ解析 |
真応力の定義では,弾性ひずみが十分小さく,塑性ひずみにより変形の前後で体積が変化せず,変形後の断面積を A/λ としています。λ が 1.1 ですと応力に1.1 倍の差が出ます。
参考のため,加工硬化係数を算出するための 1 軸試験の公称ひずみ,公称応力データを対数ひずみの塑性ひずみ,真応力に変換する方法を付記します。
σtrue=σnom(1+εnom)
εplln=ln(1+εnom)-σtrue/E
第1式は歪みの大部分が塑性歪みであることが条件です。σtrue は真応力,σnom は公称応力,εplln は対数ひずみの塑性ひずみ,εnom は公称ひずみ,E はヤング率です。大ひずみ解析の場合には,この変換が必要になります。