本ページでは ADVENTURECluster の検証事例などを紹介しています。
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| ADVENTURECluster の非線形落下衝撃解析――実験および LS-DYNA との比較 |
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- 衝撃解析を陽解法で行うことが広く行われ,そのような先入観もあるように思います。しかし,陽解法は時間刻みのメッシュへの依存性が強く,そのためにメッシュを一様に切らなければならない,時間刻みを小さく取らなければならないといった欠点もあります。陰解法でももちろん,計算に要求される時間分解能を超えるような時間刻みは取ることはできませが,陰解法のパフォーマンス次第では,これらの欠点は克服される可能性があります。
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| Fig.1 Analysis model |
ここでは,ADVENTURECluster の衝撃解析を実験結果および LS-DYNA の結果を用いて検証します。実験と LS-DYNA の結果はつぎの文献を参照しました。本項をまとめるにあたり,株式会社東芝様,東京工業大学様にご協力をいただきました。
- T. Omori, H. Inoue, N. Kawamura, M. Mukai, K. Kishimoto, T. Kawakami, Evaluation of Drop Impact Load for Portable Electronic Components, 7th International Conference on Electronics Materials and Packaging, pp.262-267, 2005
LS-DYNAは陽解法ですから,ADVENTURECluster の陰解法による衝撃解析の結果との比較では興味あるところです。
- 右の図に示すように,SUS の丸棒にアクリルの丸棒が落下して衝突します。SUS 丸棒は固定されており,アクリル丸棒は SUS 丸棒の垂直軸に対して0°,30°,60°の角度で,高さ 10cm の位置から落下します。SUS 丸棒は直径10mm,全長900mm,ヤング率,ポアソン比,質量密度はそれぞれ 193GPa,0.31,8030kg/m3,アクリル丸棒は直径 10mm,全長 200mm,下端部の曲率 5mm,ヤング率,ポアソン比,質量密度はそれぞれ 5.7GPa,0.3,1190 kg/m3です。
解析は落下角度0°の場合は 1/4対称,30°,60°の場合は1/2対称の設定で行います。要素は6面体1次要素 (一部縮退6面体) で,落下角度0°の場合27万節点,81万自由度,30°,60°の場合は52万節点,156万自由度です。接触条件には,SUS 丸棒の上端面をマスタ,アクリル丸棒の下端面をスレーブに取り,摩擦係数を0 (完全すべり),0.2,0.4の3種類を考えます。上の文献では,実験結果に基づいて,摩擦係数は 0.2 と推定されています。ADVENTURECluster の 6面体1次要素には,体積ひずみに関する選択的次数低減積分が用いられています。
- LS-DYNA の接触解析には,ペナルティ法とソフトコンストレイント法がありますが,本解析ではソフトコンストレイント法が用いられています。ADVENTURECluster では,幾何学的非線形オプションが指定されています。ADVENTURECluster では時間刻みに自動刻みオプションが指定されています。
- 落下角度 0°,30°,60°の場合の解析結果をそれぞれ Fig.2,Fig.3,Fig.4 に示します。縦軸は接触反力 (解析結果から得られる接触圧力と接触面の面積をかけて総和したもの) です。
落下角度 0°の場合はすべり方向の力が生じないため,解析上は摩擦係数 0 (完全すべり),0.2,0.4 の結果は一致するはずです。Fig. 2 の LS-DYNA の結果では完全に重なっています。ADVENTURECluster では完全すべりの場合しか行っていません。LS-DYNA と ADVENTURECluster の結果はほぼ一致していますが,0.19ミリ秒付近でわずかな差異が見られます。これは,LS-DYNA と ADVENTURECluster の時間刻みの違いによるものと思われます。実験との比較は上の文献でも言及されていますが,十分に一致しているといってよいと思われます。
落下角度30°の場合,摩擦係数 0 の完全滑り状態では,LS-DYNA と ADVENTURECluster の結果はほぼ完全に一致していますが,摩擦係数 0.2 の場合,ADVENTURECluster の結果は LS-DYNA よりわずかに実験結果に近い方に下側にずれています (このことをもって ADVENTURECluster の摩擦解析が LS-DYNA より優れているとは,必ずしもいえません)。摩擦係数 0.4 の場合,摩擦によるすべりの抑制のため,LS-DYNA,ADVENTURECluster とも大きな反力が生じており,実験結果とは離れます。
落下角度60°の場合,摩擦係数によらずすべりが生じており,反力が小さく,実験結果とも近い結果が出ています。落下角度0°,30°と同様,完全滑り状態では,LS-DYNA と ADVENTURECluster の結果はほぼ完全に一致します。この問題設定では,直感的には摩擦係数が大きいほど反力は大きくなるものと考えられますが,落下角度60°の場合,LS-DYNAの結果は,摩擦係数が大きいほど反力が小さくなるという,直感と逆の結果が出ています (このことをもって ADVENTURECluster の摩擦解析が LS-DYNA より優れているとは,必ずしもいえません)。
- LS-DYNA,ADVENTUREClusterの結果とも,摩擦モデルの妥当性,メッシュの細かさの解析結果への影響など検討すべき事柄は残っていますが,このような前提の下で,ADVENTUREClusterの落下衝撃解析は妥当な結果を与えることがわかります。
LS-DYNAの解析は UNIX機 (IBM Power4 1.3GHz 1CPU) で行われました。LS-DYNAの解析は UNIX 機 (IBM Power4 1.3GHz) で行われました。落下角度 60°(1/2モデル) の計算は,解析対象時間 0.6ミリ秒,初期計算時間刻み 2.10-8秒 (2.10-5ミリ秒),計算所要時間は約 35 時間です。一方,ADVENTUREClusterの解析は Pentium4 マシン 8台で行い,解析対象時間 0.3 ミリ秒,自動時間刻みによって取られた時間ステップは60〜120ステップで,計算所要時間は約4時間でした。LS-DYNAで取られた実際の時間刻みは不明ですが,なので正確な比較はできませんが,ADVENTURECluster で取られた時間刻みは,LS-DYNA で取られたものより非常に大きいことが推定できます。

Fig. 2 Results with inclined angle 0 degree

Fig. 3 Results with inclined angle 30 degree

Fig. 4 Results with inclined angle 40 degree
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